今話題になっている「全面禁煙」の政府通知を、タバコ規制の観点からまとめてみました。これについては、以下の3点が問題になっています。
タバコを吸うことは人命にもかかわることのある病気の原因にもなるので、予想されるタバコによる死者の増加に歯止めをかけるには、今喫煙している人がタバコをやめる必要があります。吸っていない人は、これからタバコを始めることはやめよう。
(→ 「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」 2005-02-27に政府が公布。)
タバコを吸う人が手に持っている火の点いたタバコから出る煙を副流煙と言いますが、これは、喫煙者がタバコを吸って肺の中へ吸い込む煙よりも害が大きいことが分かっています。副流煙を他人に吸わせない。すなわち喫煙者は、他人からはなれた場所で喫煙するべきである。(注:、副流煙は、非喫煙者が吸っても、また喫煙者が吸っても有害なのです。)
(→ 「健康増進法」 厚生労働省健康局長による「受動喫煙防止について」2010-02-25付けの文書で、政府が関係地方自治体などに、「健康増進法」の運用方法についての説明を「通知」するという形式で、公共の場所での「全面禁煙」施策を指示。)
お客の吸うタバコの煙・副流煙を吸わざるを得ない従業員を副流煙から保護するために、店内を禁煙にして、喫煙者の客に店内でのタバコを禁止する。
(→ 厚生労働省の健康行政部門ではなくて、労働行政部門で検討している「労働安全衛生法」の改正。)
●政府は、まず③の案を出してきました。この法律の改正によって、実質的には②が、自然的に解消されるとの効果を狙ったものと思われます。政府がまず③を出して来たのは、象徴的なことです。
http://medola.blog.eonet.jp/beautifulplanet/2010/02/post-a952.html
●続いて、2月25日付で、複数の人が出入りする場所では、「分煙」ではなくて「全面禁煙」を原則とするべきであるとの厚生労働省の健康局長の「通知」を出しました。
やっと、政府が国民全体のうちの非喫煙者の健康を守る観点から、タバコ規制の②の段階に、一歩を踏み込んだのです。
しかし、禁煙の違反に対して罰則のない「通知」だけで、全面禁煙を推し進めて、分煙を制することができるでしょうか。分煙とは、喫煙者を依存症の状態に留め置こうとする政策で、①とは矛盾する政策なので、「枠組条約」でも推奨していません。
完全密閉の喫煙室を通りすがりに見ると、タバコの煙が立ち込める中でタバコを吸っている人たちの姿があります。完全な分煙の実施は排煙装置がついていても、利用者の数の多少などもあり、難しいとされている実態があるのです。喫煙者自身も他人の副流煙を吸っているのです!
●津波が来て国民の人命が危険に曝される怖れがあると分かれば、政府は国民に対して、24時間テレビに警報を流します。それが国の当然の義務です。
タバコが年間11万人の日本人の命を奪っていることに対して、政府は津波と同じ危機感を持つべきです。
誰にも一番届きやすいテレビコマーシャルで、タバコの真実を国民に繰り返し伝える必要があります。
①の段階、「タバコを吸うな」と政府が国民に対して具体的には言っていません。いや、実は宣言しているのです。日本の法体系では、国際条約は憲法よりも上位にあるので、タバコを吸うこと自体が危険な行為であることを明言している「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」を・・・
・日本政府代表による条約の署名 → 日本へ持ち帰り、国会承認 → 受諾所を寄託 → 日本国民への公布及び告示
という手順でこの条約を知らせた(=官報に公布)その時点で、政府は条約の内容を通じて、国民に対して「タバコを吸うな」と宣言したのも同然なのですが、国民のうちで、それを知っている人はごく少ないと思います。
政府は条約の日本語訳文(右欄のリンク集参照)で公布はしましたが、そこには、条約の締約国が進むべき方向=政府が努力すべきとされている義務の実施の方向が、明白に示されています。
全面禁煙の環境を整備しながら、国民へのタバコの健康害の周知、タバコ増税、で喫煙者を減らしていく。タバコ自販機の撤廃、タバコ広告の禁止、タバコ会社の販売促進活動の禁止、タバコ会社のスポンサー行為の禁止なども、条約では政府の履行義務としています。
●条約で示されたタバコ規制の各項目の、日本の実施状況の遅れは、右欄リンク集の世界保健機関「世界規模のタバコと言う疫病についての報告書2009年版」の巻末の図表、世界地図で、示されています。
http://www.who.int/tobacco/mpower/2009/GTCR_2009-web.pdf
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